『リラのいえ』は難病の子どもを持つ家族の為の宿泊施設(ファミリーハウス)です。
近くにある神奈川県立こども医療センターには、重い病気の治療を受けるために全国からたくさんの子どもたちが来院します。中には、長期間の入院が必要な子どももいます。
自宅から離れて入院する子どもたちにとって、支えてくれる家族の存在は治療のためにも重要なこと。
家族と過ごすことが子どもにとって一番の療養になる。その理念のもと自宅への外泊が許されなくても、病院に隣接している『リラのいえ』なら外泊の許可が出る事もあります。
また、早期の退院も『リラのいえ』での滞在なら許されることもあります。これは、こども医療センターとの連携により可能となったことの一つです。
具体的な連携活動は他にも下記のようなものがあります。
○こども医療センターの受診にあたり、初診の案内に『リラのいえ』のパンフレットを同封してもらう。(この事により、必要とする方すべてへの情報提供が可能に)叉、地域連携室や外来入り口にパンフレットを常時設置
○月1回のセンター全体の「経営診療会議」への参加
○毎月「滞在施設運営会議」をこども医療センターにて開催
○遠方からの緊急搬送・手術等の場合、直接主治医・相談室と空状況の把握
○かながわ県立病院小児医療基金の支援先団体として登録
『リラのいえ』はスマイルオブキッズが運営しています。運営の多くはボランティアと支援の力で支えられています。
法人の理念である「愛する子ども達のために」は、法人設立時に決定されたものではなく、活動を進めていくうちに、自然発生的に考えられ、決定された経緯があります。
活動に携わる人たちの中で、法人の理念として相応しい考え方、文言ではないかという事が共有されてきたものです。
日本の乳児死亡率は世界一低くなりました。その結果、多くの慢性疾患を抱える子ども達、医療的ケアが必要な子ども達が入院、通院を余儀なくされています。
それでも、大人の病気と違って患者数が少なく、保険診療上不採算である小児医療に関わる研究や支援は、規模が縮小されてしまう傾向があります。子どもを支える家族やきょうだい児への配慮はまだ十分なものとは言えません。
子どもの病気や障害は原因不明である事が多く、誰にでも、どの家庭にも起こりうることです。
困難を抱える子どもと家族のことを、他人事としてとらえるのではなく、誰もが当たり前に支える手を伸ばす事ができるように。
「未来ある子ども達がその胸に夢と希望がもてるような環境を整えること」が私たちの努めと考えています。
『リラのいえ』を運営しているスマイルオブキッズ設立のきっかけとなったのは、1997年9月、6才の少女が脳腫瘍の宣告を受け、命の期限を伝えられたことでした。
神奈川県立こども医療センターに入院し、辛い治療に耐える少女を、家族は全身全霊をかけて支えました。いつかきっと元気になると信じて看病しましたが、1998年2月少女は他界してしまいました。
父親は失意の中にいましたが、時間の経過とともに、病院での親身な治療や周りの人たちの温かい心遣いに救われたこと、同様に難病と闘う子どもとその家族がいることにも思いが走りました。
自分の経験をふまえて、難病と闘っている子どもたちや家族の置かれている状況を広く社会に伝えたい。
家族の負担を少しでも減らし、より豊かな毎日を過ごせるよう社会全体で支援できるシステムを作っていきたい。そんな想いから、初代理事長田川尚登がスマイルオブキッズを設立しました。
スマイルオブキッズでは病気や障害のある子どもと家族へのさまざまな支援活動を行っています。その大きな柱のひとつが音楽支援活動です。
「生」の音楽を聴く機会の少ない重症心身障がい児施設などへの訪問コンサート、市中ホールで開催する難病の子どもと家族のためのバギーコンサート、特別支援学校の児童・卒業生とそのご家族、たくさんのボランティアともににぎやかに夏休み楽しむふれあいコンサートなど、毎年多彩な活動を通して、多くの皆さまとの絆を深め、子どもやご家族の皆さんがほっとするくつろぎの時間を提供する活動を行っています。
*横浜こどもホスピスプロジェクトの設立に至るまでのお話として、一般社団法人チャーミングケアの音声配信のインタビューから引用