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スペシャルキッズ の育児と暮らしー「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」vol3

2020/09/20

スペシャルキッズの育児と暮らしについて、働きながら子育てをするママさんのブログを転載させていただいています。

「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」

2020年2月よりnoteにて投稿されている記事の一部を、チャーミングケアモールでも転載させていただいています。

第1回チャーミングケアモールアンバサダー会議により、初期の記事より時系列に記事をチョイスさせていただきました。

とても優しくほっこりする文体が魅力的な「もいもい先生」の育児ノートを是非ご一読ください。






色が白い。

 

温室育ち。

生まれ落ちたその日からNICUで数ヶ月過ごしている息子・おもちくん。

常にヒーターで暖められ、保育器に寝かされている彼は、まさに温室育ちである。

そんなおもちくん、その呼び名のとおり、非常に、色が白い。

透き通った白さ、というのか、とにかく私の手と全然色が違う。絆創膏を貼った指が、そこだけふやけて白くなっているのと同じぐらい、色が違う。

『おもちくん、色白ね!』

とよく言われるが、心が落ちている時には、

『病院から出たことがないからね、私だって本当は、太陽の光を浴びられて外の空気を吸えるような生活させてあげたいよ』

と非常にささくれ立った気持ちでいた。

パパが初めて抱っこした日までは。

おもちくんのパパは、雪国のひとだからか、とても色が白い。そして頬が赤い。あきたこまちの米袋に印刷されている、傘を被ったゆきんこを、オジサンにしたような感じである。でもオジサンだから、美女ではないし、日焼け止めを塗る訳でもないので、まあ、白めのガサッとしたオジサンである。

しかし元来イエローベースで、日光をよく吸収して、焼けば焼くほどこんがり焼ける私は、ブルーベースなパパのことが、ちょっとかなり羨ましい。

閑話休題。

生まれて100日経って、初めてパパが抱っこ出来た日。

私は密かに静かに非常に衝撃を受けた。

ガサッとした白めのオジサンなパパの、日焼けしていない指の内側。

おもちくんと全く同じ色であった。

私はてっきり、NICU育ちでもやしっ子の温室育ちだから、青白いのかと思っていたのだ(医学的根拠はない)。

そうか・・・おもちくん、地がブルーベースだっただけか・・・(重ねて医学的根拠はない)。

心の違う部分がささくれ立って、私は自分の手のひらをじっと見つめた。



忘れる恐怖と、面会制限

NICUは、面会制限の厳しい病棟のひとつである。

父母本人だけでなく、同居家族の感染症でも割と気軽に長期間面会不可になったりする。

2月、まだ新興のあいつが本腰でなかった頃だが、我が家で一度に2種類の学校伝染病による家庭内パンデミックが勃発し、ほぼ3週間NICUに行けなかったことがあった。

おかげさまで、NICUで守られていた息子・おもちくんは、無傷である。

しかし、母である私のメンタルは、無傷でなかった。

折しも、帝王切開の傷が癒え、産前産後の記憶が曖昧になってきているなぁと感じていたところなのに、おもちくんに会えない。上の子達の看病、自分もちょいと具合が悪いし、めちゃくちゃ寝不足。癒される要素、ZERO。

『このままじゃ、おもちくんのことを私は忘れてしまう!』

夜中に搾乳しながらわんわん泣いた。

わんわん泣いて、呟くどころか叫んじゃった。

私のメンタルがズタボロになりかけていたことは何故かNICUや新生児科全体の共通認識になっており、家庭内パンデミックの終息宣言ののち、今に至っても、『あの時は大変でしたねー』と各方面から声をかけられる始末。

ちょっと恥ずかしい。

恥ずかしいことは忘れたい。

 

 

スペシャルキッズ の育児と暮らしー「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」vol2

2020/09/01

スペシャルキッズの育児と暮らしについて、働きながら子育てをするママさんのブログを転載させていただいています。

「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」

2020年2月よりnoteにて投稿されている記事の一部を、チャーミングケアモールでも転載させていただいています。

第1回チャーミングケアモールアンバサダー会議により、初期の記事より時系列に記事をチョイスさせていただきました。

とても優しくほっこりする文体が魅力的な「もいもい先生」の育児ノートを是非ご一読ください。



保冷バッグと、片想い

子供が3人。

両手で手を繋いでも1人余る人数。

想像以上に3人の予定がテトリス状態です。上ふたりの学校や習い事の予定に、末息子、おもちくんの面会と1日5回の搾乳を組み込むと、それはそれはもうテトリス。しかも横一列に綺麗に並ばない消えていかないやつ。テトリスを並べるようにスケジュールのすき間を掻い潜り、おもちくんとの短い逢瀬に向かいます。

引くほどの大荷物です。数日分の冷凍母乳、おおよそ3㎏ほどの入った巨大な保冷バッグ。肌着が5枚。ガーゼハンカチ10枚。忘れちゃならないアンパンマンのしゃかしゃかボール。(もいもいはベッドサイドに常駐)

巨大な荷物を抱えて、怖い顔で息を切らせて、しかもバッグが歩く度に何だかシャカシャカ言う小柄なオバサン。傍から見るとかなりアレですが、致し方ない。

しかも、この日は生まれて3か月、3回目の抱っこの日でした。

肺に疾患を抱えたおもちくん。

産声を上げたのちすぐに挿管され、呼吸器につながれています。

一言「だっこ」といっても、おもちくんの治療やケア、新生児科の主治医、NICUの担当看護師さん、母の私のスケジュール調整をしなくてはなりません。4人のスケジュール調整、結構大変。

そもそも、おもちくんが低空飛行なりに落ち着いている状態、というのが大前提です。全部ひっくるめて、めちゃくちゃ大変。

しかし母は抱きたい。息子を。


新生児用のつめきりハサミ。

それは刃渡り1cm足らずにして、何故かやたらと切れ味抜群のハサミである。

我が息子・おもちくんのいるNICUでは、爪切りは父母の仕事である。

愛着形成とかそういうものの為かもしれないが、我が子にしてあげられる仕事をもらえるのは、なかなか嬉しいもの。

まるでお手伝いを頼まれた幼子のように意気揚々と、生後1週間頃から毎日つめきりハサミを持参していたのだが。

爪が伸びない。

生まれ落ちたその日から、いわば死線をくぐり抜けてきたおもちくん。病によるストレスか何か、爪が伸びないのである。

使えなかったつめきりハサミを握り締め、しょんぼりと帰宅する日々。

 

しかし生後1ヶ月を過ぎた頃だろうか。

低空飛行ではあるものの、体調が徐々に安定し、十二指腸へ通した管から母乳が入り始めたあたり。

少しずつであるが、爪が伸び始めたのである。

成長曲線なぞガン無視のマイペースな発育。

月齢に見合わない、小さな小さな爪。

冬に鎌倉の海岸で拾う、さくら貝のような爪。

その小さな爪を、やたらていねいに、爪の切れ端をハサミの刃ですくい上げるように切り、傍に置いたガーゼの上にそっと運ぶ。

単調な、反復仕事。

やわらかなおもちくんの指に、心がぽわっとする。

抱っこ(なかなか出来ないが)とはまた違う、温かで穏やかな時間。

しあわせを噛み締めている。



スペシャルキッズ の育児と暮らしー「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」ー

2020/08/15

スペシャルキッズの育児と暮らしについて、働きながら子育てをするママさんのブログを転載させていただきます。
「産業医もいもい先生の子育てノート 〜気切っ子おもちくんとともに〜」

2020年2月よりnoteにて投稿されている記事の一部を、チャーミングケアモールでも転載させていただくことになりました。
第1回チャーミングケアモールアンバサダー会議により、初期の記事より時系列に記事をチョイスさせていただきました。
とても優しくほっこりする文体が魅力的な「もいもい先生」の育児ノートを是非ご一読ください。

暖かな空気がゆるみ、春から初夏に変わる頃。

こども病院の可愛らしい待合室で、私は超高精細のエコーを受けるため待っていました。

医師あるある、ではないですが、こども病院の、ちょっと知っているとても偉い先生(ロマンスグレー先生)に取り上げてもらうお産、3回目。 勝手知ったる診察手順。

『おめでとうー順調だねー次は〇週間後ねー』 を信じて疑いませんでした。

しかし神様は時に、小さな、でもやられた本人にとってはとても大きな、イタズラをなさるらしい。

診察のとき、いつもより長く無言なエコーのあと、ロマンスグレー先生から告げられたのは、おおよそ1万人に1人の先天奇形の可能性でした。

白と黒で映し出された赤ちゃんの写真。

自分でも超音波を扱う仕事です。

否が応でも読めてしまうエコー写真。無意識に診断を行おうとしてしまう頭。

しかしその一方で、ザラザラと冷たい血液が巡るような感覚に、飲み込まれていったのでした。

絨毛検査、頻回受診、毎回の高精細エコー・・・。 賛否両論ある出生前診断ですが、全部受けました。 『お願い、生きていて』 『あなたの人生を、どんな長さの人生でもいいから、あなたらしく生きていて』 願い続けていたのは、息子が息子の生を全うすること、ただそれだけでした。

『おなかの中で亡くなるかもしれない』 『生まれても、呼吸器に繋げないかもしれない』 『呼吸器に繋げても、手術できないかもしれない』 明日を信じてはいたけれども、仄暗い告知ばかりで、若干の諦観をもって過ごしていた、今回の妊娠生活。

君は、きちんと、自分の生まれたい時を教えてくれて、きちんと、産声を上げてみせてくれた。

私の温かな胎内から切り離された息子は、全身の力をこめて、可愛らしい、しかしとてもしっかりした産声を聞かせてくれました。

その声は、手術台の上で祈り続けていた私に、祝福のシャワーのように降り注ぎました。

それは、彼の全てを受け入れ育んでいく、静かな覚悟を持たせるのに、十分すぎるほどの力を持っていました。

息子、生まれてきたね。

ありがとう。

これからどうぞ、よろしくね。

 

引用・出典:生まれる、生きる。https://note.com/dr_moimoi/n/nd1b02fb6f7fa

病気や障害のある子どもの福祉グッズ展|オンライン通販ガイド

2020/07/15

病気や障害のある子どもの福祉グッズ展〜オンライン通販ガイド

5月30日ー31日 チャーミングケアモールにて『子どもの福祉グッズ展』を開催しました。

病気や障害のあるお子さんがいるとなかなか外にお買い物に出るのも一苦労。特にコロナ渦で福祉機器展などが軒並み中止になり、感染予防のためにおうち時間がより一層多くなっている状況下。チャーミングケアモールでは、オンラインにてスペシャルキッズのための子どもの福祉グッズ展を開催いたしました。

医療的ケア・聴覚/視覚障害・肢体不自由・重症心身障害・小児がん・知的障害・低出生体重児・難病・発達障害などほぼ全ての疾病を対象とした商品に関して、取扱事業者さんがオンラインでそれぞれの使い方や開発経緯など披露!

北は北海道から南は九州、さらには海外ともオンラインで繋いで、いろいろなお話を聞きましたよ。

ここを見れば、病児や障害児関連のお買い物ちょっと楽しくなる通販番組のように公式youtubeにて配信しています。

 http://www.youtube.com/c/charmingcaremallchannel 



5月30日にイベント中でご紹介した商品リストを公開いたします!
商品によっては、期間中特別セールやお得なオプションが付いている商品もございますので、要チェックです!

▶️5月31日のレポートはこちら  
https://charmingcaremall.com/page32/531/

 

 

株式会社 岡部洋食器製作所

 

グイッと曲がる先割れスプーンのご紹介。グリップも持ちやすく、実際にフレックスメタルスプーンを使ってサラダを食べてみましたよ。
ドレッシングをかけ忘れたので、ものすごくフレッシュなお野菜をいただきました。(後ほどドレッシング仕様の元、全て美味しくいただきました)

実際に子どもたちに使用してもらっていますが、食べたい方向に調整ができるのがとっても好評でした。食べることがちょっと楽しくなります。
さらには、取り分けるにも便利なので、とても重宝していますよ。

 

 

ANGEL KIDS WEAR 

 

今回のオンライン福祉グッズ展で初めて知ったのですが、「犬」をモチーフにしておられるそうで、エンジャルキッズウェアさんでよく登場するモデルの大きな女の子のお人形さんにもお名前があるそうで、視聴されていたユーザーさんから「せんぱいって言いますよ」と教えてもらいました。

ゆるいキャラクター設定が癒し系で可愛いですね。 

 

●スネイリーズ 

 

*お着替え入れ

指の力が弱い低筋緊張のお子さんでも開けやすく工夫した巾着型お着替え入れです。

脇にリボンループを取り付けることで、数本の指と腕の力を使って開けることができます。

 

 

*うさみみランチクロス/風呂敷

簡単に包めるように、向かい合う一組の角に面ファスナーを付けました。

結ぶのは残りの一組の角だけで簡単に包むことができます

 

かえるキッズのお助け隊 

お風呂の専門家、大泉さんのとってもわかりやすい解説を聞かせていただきました。一人でお風呂介助するのが大変という困りごとから生まれたお風呂グッズ かえるのオフロ チャーミングケアモールでももっとお風呂時間を楽しめるおもちゃや便利グッズを取り扱えるようにしたいなと感じました。



●COM泉屋  

 

ドリホルとポーチとこむねここむいぬのマスク

コム犬くんとコム猫ちゃんは、COM泉屋さんのオリジナルキャラクターだったというエピソードをお聞きしました。

車いすに乗っている動物というキャラクターをあまり見かけないなぁと感じて、イラストを書き起こしてキャラクターを作ったのだそう。北海道発の車いすデザインのご紹介でした。車いすにつけるドリンクホルダーも取り扱っていますよ。

 

 

Tippet 

とっても可愛いスタイのお店ティペット。リボンの取り外しが可能で、よだれで汚れてしまった部分を回転させることで服の汚れを防止するアイデアがとても素敵でした。スタイに見えないスタイというのがとってもしっくりくる、お出かけにぴったりのスタイですね。

 

 

opunashop チャーミングケアモール店 


 

木の枝をモチーフにしていると思っていたオプナのカトラリーが、実はサンゴをモチーフにしていたのが驚きでした。
デザイナーでもあるオーナーさんが、使い方を教えてくださいましたよ。

握らなくても使えるのがオプナの特徴。動きにくい手でも、うまく凸凹を活用してお食事をすることを可能にする。

素敵なコンセプトでした。

 

ひよこ屋   

 

エンゼルドレス



小さく生まれた赤ちゃんのためのエンゼルドレス。普段着というよりはセレモニーなどのためのドレスなんだそう。 

 

●メデルミー  

 

半袖ロンパース / ノースリーブ

 
一枚布になるメデルミーのロンパース肌着。生地にもこだわって見た目もとっても可愛い逸品。とっておきの一枚や贈り物にぴったりの商品ですね。オーナーさんに実際に広げて実演していただきました。

 

●ぷるちーの合同会社 

 

たくさんのハンドメイド品を取り扱っているぷるちーのさん。レインカバーの他に、防寒ブーツなどもご紹介いただきました。
防寒ブーツは年間通して人気があるそうで、寒い地域だけでなく、重症心身障害や医療的ケア、難病などでずっと寝たきりの状態だとどうしても足元が冷えてくるそうで、特に空調のきいた室内にずっといる場合などに使用するとのこと。
特別支援教育就学奨励費の対象にもなっている(領収書添付で後から還付される場合もあり経済的にも負担が軽減される)商品をたくさんご紹介いただきましたよ。


いかがでしたか?今回オンラインで参加してくださったのは、チャーミングケアモールに出店してくださっている約半数の事業者さんです。ご紹介いただいた商品もほんの一部になっているので、今後、また違った切り口で、病気や障害のある子どもや家族のためのオンラインショッピングガイドをしていければと考えています。
通販事業の一貫として、手作り品のキット開発などでリハビリに繋がっていくような企画も勧められたらと、今回のイベントを通じて感じました。

今後ともチャーミングケアモールのオンラインイベントを要チェックしてくださいね。

NEWS | 小児慢性特定疾病に係る受給者証有効期間の延長について

2020/05/08

チャーミングケアモールをご利用いただいているユーザー様にとって、おそらく身近な証明証『小児慢性特定疾病受給者証』

更新の手続きが大変だというお声もチラホラ耳にしますが、今年に関しては、下記のように更新猶予期間が設けられています。




新型コロナウイルス感染症を踏まえた指定難病・小児慢性特定疾病に係る受給者証有効期間の延長について

https://www.mhlw.go.jp/stf/nanbyou_enchou_00001.html
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、全国の受給者(令和2年3月1日から令和3年2月28日までの間に有効期間が満了する者に限る。)を対象に、有効期間の満了日を自動で1年延長することとしました。

*引用:厚生労働省HPより




基礎疾患があったり、免疫力が弱いお子さんをお持ちの保護者の方が、更新手続きだけのために病院や保健所に行くのは、現状は本当に大変ですよね。
受給証の有効期間を確認して、該当される方は急いで更新は必要ありません。

小児慢性特定疾病受給者証の更新は、そもそも更新のお知らせがこない自治体も多く、なかなか情報が届きづらいかと思います。

情報を是非シェアしていただければと思います。


小田急電鉄ONEクーポン対象商品 medel me(メデルミー)

2020/04/02

3月より小田急電鉄ONEクーポンと連携し、チャーミングケアモールポイント活用が開始しました。
5000円以上の商品が対象商品となります。

特集記事として、商品についてやそれぞれのショップのストーリーをご紹介します。

第1回目はスペシャルキッズ(病気や障害のあるお子さん)のための大きめサイズロンパースを製造販売されている、メデルミーさんのインタビューをご紹介します。

 



介護の大変さは当たり前のことではない

2020年4月で5歳になる息子は、先天性の難治てんかんです。生後2ヵ月で頭の大手術を余儀なくされ、その後遺症で右半身麻痺になりました。

 

息子の場合、多いときだと一日に数十回も発作があり、それが食事のすぐ後だと嘔吐してしまうので、そのたびに着替えをしなければいけませんでした。でも、一般的なロンパースは、頭からスッポリかぶるタイプなので、寝たきり状態の息子の着替えは本当に大変でした。筋緊張がある腕を袖に通したり、背中を持ち上げたり、そんな一連の作業がとてつもなく負担になります。

 

気が付けば、「汚れたら着替える」という当たり前の行為がとてもストレスになっていました。「あ…また着替えか…」というふうに。

 

そのとき感じたストレスや違和感がきっかけで、medel meのロンパースが生まれました。

medel meのロンパースを使うようになってからは、「気持ち悪いから変えようね」と穏やかに言えるようになりました。また、お風呂のときの着脱など毎日発生する小さなストレスからも解放されました。

 

実際、商品を使ってくださっている方からも、「点滴しているときは、着替えのたびに看護師さんを呼ばなければいけないのがとてもストレスだった。このロンパースなら自分ひとりでラクに着替えさせられるのでうれしい」というような感想をいただいています。

 

 

一人の力ではできなかった しかし、想いがうまく伝わらないことも

昔からおしゃれすることや可愛いものが好きではあったものの、縫製に関する知識はまったくない状態で製品の企画にはいりました。それを無謀だという人もいるかもしれませんが、自分が欲しいと思ったものだったので何としてでも形にしたかったのです。

 

SNSで呼びかけをしたところ、ありがたいことにパターンに起こしてくれる方がすぐ見つかりました。私の欲張りな注文もひとつひとつ丁寧にキャッチして取り入れてくださるとても素敵な方です。

 

その後、ある程度の形ができたところで、実際に製品にするために縫製工場へ連絡をしました。といっても、もちろんツテがあるわけではないので、自分で工場を探して片っ端から連絡しました。全部で20社ちかくにメールを送ったでしょうか…。そのメールに反応してくれたのが、今お手伝いしてくださっている縫製工場です。

 

それでも、最初電話で話したときは、「ロンパースはむずかしいよ」とか「ロット数も少ないんでしょう」と前向きではなくて…私の想いが伝わっていないと感じました。だから、翌日、工場に直接行きました。どういう事情でこのロンパースを作りたいと思っているのか、どんなことで日常生活にストレスが発生しているのか、とにかく熱く語ってきました。すると、社長さんがもともと福祉関係に興味がある方で、「それは大変やね。じゃあ作ってみようか」と、ようやく想いが届いて協力していただけることになりました。

 

その後もイメージをすり合わせたり、製品になるまで想像以上に時間がかかったり、予定通りにいかないこともありましたが、2019年9月にようやく最初の製品を販売することができました。

 

 

「medel me」に込められたお母さんたちへの想い

毎日お子さんの介護をがんばっているお母さんたちにmedel meの製品を使ってもらいたいです。

 

介護に追われているお母さんたちはみなさん一生懸命なので、がんばっている状態が当たり前になりがちです。でも実はすごく大変なことをしていて、みなさん疲れているはずです。だからもっとラクしてもいいと思いますし、誰かに頼ってもいいはずなのです。

 

子どものことが大切なのは当然だけど、子どものことだけだと余裕がなくなってしまいます。子どもを大切にするためにも、まずは自分を大切にしてほしい。自分を愛することで心が満たされ、更に子どもを愛することができると思うからです。

 

「medel me」には「自分を愛でる」という想いがこもっています。お母さんたちのがんばりを認め、自分自身を大切にしてもらうためのブランドなのです。

 

 

今のままでいい 素直な気持ちを大切に

この事業は自分自身のためにやっているようなものです。これからも、私が“欲しい”と思えるものを展開していきたいです。私が欲しいと思うものを作ることで、同じような境遇で困っているお母さんたちがきっとラクになるはずだから。

 

子どもたちそれぞれに未来があるように、お母さんにも未来や人生があります。そして自分の人生は、他の誰のものでもなく自分のものです。だからこそ、自分の人生に責任を持ち、思う存分に楽しんでいきたい。それが私の想いであり、お母さんたちへの希望です。

 

 

チャーミングケアモール インタビュー(きょうだいケア特集ーvol2)

2020/03/17

チャーミングケアモールは、病名や障害名で商品を検索することができることに加えて、それぞれの困りごとで絞り込みをかけることが可能です。様々な困りごとの中から、今回は「きょうだいケア」をピックアップしています。

 


 

病気や障害のある子どものきょうだいたちの課題は、気づかれにくく目に見えにくいことなどからケアが難しいと言われています。

そんなきょうだいたちが “子ども時代を安心して過ごせるように” “自分らしく生きていけるように”という思いのもと活動するお二方のインタビューを特集連載にてお届けしています。

インタビューに答えてくださったのは、引き続きNPO法人しぶたねの清田悠代さんと、シブコトの藤木和子さんです。

 

 

後編ではきょうだいに必要なケアや今後の目標についてお話しいただきました。

 

病気や障害のある子どもの「きょうだい」 家族の愛情を見えやすくするには(後編)

 

 

― きょうだいはさまざまな感情を抱えていることが分かりました。そんなきょうだいに必要なケアとは何でしょうか?

 

清田さん

 

私たちが目指しているのは、きょうだいの子ども時代に「たくさん大事にされた」「たくさん愛してもらった」という機会を増やすことです。

高校生や大学生のきょうだいが、進路や就職を考える節目のタイミングで自分の人生を振り返り、意味付けをするようなことがあります。その意味付けをする際、温かい思い出が浮かぶかどうかで、未来に歩むためのエネルギーが変わるように感じています。

しぶたねでは、親御さんときょうだいがしっかり関われる時間をつくっています。その時間の中で、「うちの子って、こんな可愛い顔で笑うんですね」とおっしゃって写真を撮られる親御さんもいらっしゃいます。決してきょうだいが家で笑っていないわけではないんですよ。でも、親御さんたちは、ケアや子育てに追われ、ゆっくり寝られる日もなく頑張っていたりするので、ゆったりきょうだいに向き合う時間がありません。きょうだいの笑顔が親御さんの元気につながるとうれしいなと思います。


*4月10日は
きょうだいの日(シブリングデー)。 2019年一般社団法人日本記念日協会に認定・登録された。

 

 

― チャーミングケアモールのきょうだいケア商品についてはどう思いますか?



 清田さん

 

商品一覧に「きょうだい」というカテゴリーが入っていることがうれしいですね。親御さんのなかには、きょうだいという文字を見ること自体苦しい方もいらっしゃいますが、お見舞いの品を探す方に、きょうだいも頑張っているんだと知ってもらえるのは大きな一歩です。
しぶたねでも、「つぶたね」というきょうだい支援のタネをまくキャラクターがいて、そのあみぐるみさんは遊びのアイテムとしてとても人気です。

 


*NPO法人しぶたねのキャラクター「つぶたねちゃん」 きょうだいの日など、きょうだいさんと親御さんのふれあいの場で活躍しています。

 

藤木さん

 

私もきょうだいという存在の認知につながるのはとてもうれしいです。商品ラインナップも素敵なものばかりなので、見ていて気持ちが明るくなります。

きょうだいも一緒に選んで買ってあげられるような商品が増えればさらにうれしいですね。きょうだいたちも、おそろいのものが欲しいとか、自分が気に入ったものが欲しいと思っているはずなので。


 

清田さんがおっしゃられたように、私も温かい思い出が大切だと思います。最近、親もいろいろと考えて私と過ごしてくれていたのだろうなと考えるようになりましたし、きょうだいの活動への家族の理解にも感謝しています。特別なことは必要ないので、日常生活のなかで少し本音を話せる時間や気にかけてるよという思いやりや愛情が伝わる声かけがあるといいですね。

 

― 素敵なお話をありがとうございました。最後にお二人の今後の目標を教えてください。

 

清田さん

 

きょうだいの応援団をもっと増やしたいです。現在、きょうだいの応援団を増やしつながりをひろげるための「シブリングサポーター研修ワークショップ」を全国各地で開催しています。おかげさまで3年間で800人以上の方が受けてくださって、そのネットワークは広がりつつあります。それでも、一人ぼっちで頑張っているきょうだいは全国にたくさんいるので、その子たちに届くサポートがしたいなと思っています。

 

 

藤木さん

 

シブコトも2年間できょうだいの登録が1000人を超えましたが、「きょうだいという言葉をもっと早く知りたかった」という声が多いです。認知度はまだまだ低く、きょうだいが誰もが知っている言葉になることで、きょうだいや親御さん、支援者の方が必要な時にアクセスしてもらえるサイトにしていきたいです。また、きょうだいと言っても、背景や価値観、生き方、共感できる内容や参考にしたい情報も違うので、多様な体験や声を発信するきょうだいが増えていくといいなと思っています。